京都写真学校カリキュラム
執筆:中川繁夫
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(003)写真はこころとこころのコミュニケーション

写真を撮る、表現する、ということは、こころとこころのコミュニケーションです。

ぼくはいまの時代、こころの失われた時代だと思っています。
一人ひとりには豊かなこころがあって、それを大切に抱えているのだけれど、
それよりも他人との関係やお金を稼がなければならなかったりで、
自分の気持ちに負担ばかりかけさせられてしまって、ひとりで悩んでしまう。
このような現状じゃないかなと思っています。

そうだとしたら自分のこころを、気持ちを、家族や友だちや、
大きくいえば社会に知ってもらいたい、共有したい、
こころの底から理解してもらいたい・・・・・・。
そう、いつもこころの深いところで、ひとりぼっち感覚をなくして、
日々楽しく満足感あふれる気持ちでありたい。

写真を撮っていくことって、
そんな気持ちをもって生きていくためのひとつの方法だと思います。

こころを共有するというのは、そんなに単純なものではなくて、
いろいろなプロセスを踏んでいかなければいけないけれど、
基本的には、写真を撮るということは、
そのことにつながっていくのだということを真っ先に知ってほしい。

写真を撮るということは、写真を仕事にしていくとしても、そうでないとしても、
自分が生きていくということに密着していることです。
ひとに自分のことを知ってもらい、自分を楽しくさせるもの、
それが写真を撮ることの基本だと思います。

このことを実現させるために、そのなかで自分が生きていくために、
写真を撮る技術のことや、
考え方や思い方、
過ぎ去った日々のことを知って、
自分のいまいる場所を確認していくことが必要なのです

写真を使ってぼくとあなたが双方向でやり取りします。
これは直接にぼくがあなたのこころと対話するものです。
新しい時代の写真は、こころとこころが交流できるコミュニケーションの形です。
言ってみれば境界線のないコミュニケーションの方法です。こころとこころの共有です。

写真はあなたのこころを豊かなものにするものです。