☆☆写真講義☆☆ 応用理論編
フィルム写真の現在-01~03-
nakagawa shigeo 2004.10.14
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フィルム写真の現在-01-

写真フィルムは工業生産品です。
透明板の平面にゼラチンで固めた銀粒子を塗ったものです。
この平面に光があたると銀粒子が化学変化をおこす。
この光が当たった板をアルカリ液で洗うと、光の当ったところが変化します。
光の当り方が少ないと洗い落とされてしまいます。
こうしてフィルム写真のネガが出来上がります。

セルロイド板の変わりにガラスを使うこともできます。
そうするとガラスネガですね。
ガラスの変わりに紙を使うと紙ネガです。

工業製品として大量生産に入って需要を伸ばしてきたフィルム写真。
35ミリフィルムの原形は映画用のフィルムです。
20世紀に入ると映画産業が興ってきます。
そこに使われたフィルムのサイズがそのまま小型カメラに使われました。
フィルム写真は35ミリサイズが主流になります。

そのうちカラー化が起こってきます。
写真用にネガカラーが開発されます。
オレンジのフィルムベースに画像を定着させるネガカラーフィルム。
カラー時代は、いずれも現像装置ごとの開発でした。
大量生産、大量消費のサイクルを創出してきます。

大掛かりな現像装置から簡易現像装置へと替わってきて、
街のミニラボですね、簡易現像装置が置かれています。
ミニラボ競争時代の1980年以後ですね、ゼロ円プリント。
限りなく簡易廉価になってきたフィルム写真でした。

使い捨てカメラ。
簡易カメラ装置にフィルムが装填されていて現場で写すだけです。
ピント合わせも露出決定も不要です、だれでもそこそこ出来上がる。

ところが世の中はデジタル化の時代になってきました。
カメラもデジタル処理カメラが主流になってきています。
もう写真っていえばデジタル処理写真をさすような時代です。

このような現在点において、フィルム写真を捉えてみようとの試みです。
連載形式で見ていきたいと思います。

フィルム写真の現在-02-

フィルムによる写真制作の方法が、デジタル写真にとって代わられる。
ここでは、この際に、フィルムを使う写真が、
どのようになっていくのか、がテーマです。

当然、フィルムを使う写真というのは衰退します。
これはテクノロジーの歴史をみれば明らかなことです。

フィルム映画に代わるビデオ映像があります。
現在はまだ、映画館の装置の関係もあって、
デジタルで制作された映像をフィルムに焼き付けます。

写真では、フィルムで撮っても印画紙にプリントアウトします。
つまりもう、現像液処理をしないプリントが主流になりつつあります。
これは、もう、デジタルカメラによるデジタル処理への過渡的処理です。

こういう近未来のフィルム写真は、
もうある種、工芸品、伝統工芸の世界入りですね。
冗談じゃなくて、そのような概念の仲間入りです。

でもフィルム写真が無くなるわけではありませんよね。
伝統手法による写真制作方法ということですね。

フィルム写真が、その原材料に銀を使う、
これは環境汚染を起こします。
ですから、もう開発されてるんですが、
環境汚染を引き起こさない処理になります。

それから耐久性です。
フィルム写真は銀塩写真ともいいますが、
マニュファクチャー・手作りですから、
技法さえあればハード環境は自前制作できます。
それから千年以上の保存可能性を追求します。

発明以来165年の歴史を持つフィルム写真は、
デジタル写真への転換により古典技法の仲間入りですね。

断続的連載予定のこの論は、伝統工芸的、古典技法の仲間入り、
ということを念頭において進めていきたいと考えています。

フィルム写真の現在-03-

ここでは、フィルム写真と一括して論じておりますが、
その材料についての知識を少し書いておきます。

フィルムとはセルロイド材料を使っていました。
このセルロイド材料を使わないフィルムに代わる材料もあるんです。
セルロイドは支持体、つまり銀粒子を塗っておく物質です。
それから銀粒子を塗る、って書きましたけれど、銀だけでは塗れないです。
銀粒子をゼラチンと混ぜます。
このフィルム、厳密にはモノクロームフィルム(白黒フィルム)のことです。

このフィルムと同様に印画紙ですね。
写真の画像をのせる、というか定着させる紙です。
モノクロ写真(ブラック&ホワイト)の場合は、フィルムと同様です。
ゼラチンに銀粒子に混ぜて紙に塗ります。
このような材料ですので、呼び名は、ゼラチンシルバープリントです。

写真の展覧会なんぞにいきますと、そのように表示してあります。
この材料を使ったのが多いですが、
発明の最初からあったのではないんです。
初期のころは、銀でなくてアスファルトの材料、
それとか鶏卵とかありますね。
セルロイドの代わりには、紙とか、銅版とか、ガラス版を使いましたね。
乾板、湿板、そんなこんなが、いろいろありました。

ここでいわんとしていることは、
工業製品である銀粒子フィルム&印画紙ではなくて、
マニュファクチャー、手作りフィルム&印画紙、そのことなんです。
その、手作りフィルム&印画紙、この方向への回帰ですね。

このように見てきますと、次は手作り」カメラ。
高級一眼レフのフィルムカメラから、手作りへの回帰です。
最近、美術館や写真学校のワークショップで、
ピンホール・カメラで写真をつくる講習会がまま開催されてきています。
こういう風潮ですね、手作りカメラに手作りフィルム&印画紙を使う写真。

1826年にニエプスという人が、光を直接定着させて以来、178年。
2004年の現在位置は、この178年の間に試みられた写真制作の技法・方法が、
過去、近過去という時間軸ではなくて、等価になったことです。
作家がどのような技法を使うかというのは、もう自由です。

いよいよ、そういう時代に入ってきたな~!っていうのがコメントです。